エアコンプレッサーは、製造現場でさまざまな機械を動かすなど、重要な役割を担っています。 工場で発生する粉塵量が多いほど、コンプレッサーの吸入空気を清浄化するエアフィルターに負担がかかります。 従来のセルロースフィルターはすぐに目詰まりを起こしますが、ドナルドソンの新しいフィルター技術を採用することで早期の投資回収が可能となります。
その一例として、中国の埃にまみれた某繊維工場で起こったケースをご紹介します。 従来のエアフィルターから、ドナルドソン独自のファインファイバー技術を採用した高効率フィルターに交換したところ、工場内のエアコンプレッサーのダウンタイムが大幅に短縮されました。 ドナルドソンのフィルターを採用したことで、この工場のエアフィルターのメンテナンス間隔は5倍に延長されました。メンテナンスコストも大幅に削減することができ、システム信頼性も改善することができました。
中国・山東省に位置するこの繊維工場では、約600台のコンプレッサーでさまざまな機械を稼働し、作業を実施しています。 空気中にさまざまな繊維や粒子状物質が含まれるため、コンプレッサーのエアフィルターは200時間未満、場合によっては、わずか50時間使用しただけで目詰まりを起こし、エアフロー制限アラームが作動するようになっていたのです。 作業員はエアフローを逆にしてフィルターを掃除しようとしましたが、大した成果もなく、フィルターの寿命を100時間延ばすだけという結果に終わることもありました。 また、高圧エアーによるフィルターのクリーニングはあまり意味を成しませんでした。 エアフィルターに付着したゴミを高圧の空気で取り除くと、どうしてもフィルターメディアを傷つけてしまい、小さな破れから大きなゴミが通過してしまいます。
こうした状況を改善するため、このエアコンプレッサーのベンダーからドナルドソンに問い合わせがあり、従来のセルロースエアフィルターを、ドナルドソンのUltra-Web®技術を採用した表面積の大きいファインファイバーフィルターに交換する件について相談がありました。 従来のセルロースフィルターが約99%の効率であるのに対し、ファインファイバー技術では99.99%の効率を実現することができます。
吸気フィルターのメディアは、従来、セルロースファイバーやセルロースと合成ファイバーの混合物で作られていますが、 ドナルドソンのUltra-Web技術は、エレクトロスピニング法により直径0.2~0.3ミクロンの微細で連続した弾力性のある合成ファイバーを製造したメディアを使用しています。 Ultra-Web技術は、図1、図2に示すように、微細なファイバー間スペースを設け、メディア表面に粉塵を捕捉することで高い効率を実現しています。 このため、埃が奥深くまで入り込み、空気の通り道を塞いでしまうセルロースのデプス捕集メディアに比べ、フィルターの通過制限をより緩やかにすることができます。
高効率フィルターの効果を調べるため、従来のセルロースメディアを使用していた5台のコンプレッサーに、ファインファイバーフィルターを設置しました。 フィルターアセンブリーは、従来の縦型から、Ultra-Webフィルターを横型に収納した新しいドナルドソンのアセンブリーに変更されました。 作業員は、両方のフィルターでエアフロー制限アラームが作動した時間を比較しながら、運転状況をモニタリングしました。 その結果は驚くべきものでした。
図3に示すように、Ultra-Webフィルターは、アラームが作動する平均時間が約300時間から1,500時間以上と、5倍以上に増加しました。 図3では、一定の圧力損失レベルに達するまでの運転時間数を示しています。 表面捕集を行うことで、制限の上昇が緩やかになり、フィルターの長寿命化につながります。
フィルターの高効率性は、目視検査でも明らかでした。 図4に示すように、試験終了時にはフィルターの外側に大量の埃などの粒子状物質が付着していましたが、内側では埃が大幅に減少し、新品のフィルターとほぼ同じ状態になっていました。
試験後、この繊維工場では、600台の機械のエアクリーナーをすべてドナルドソンのUltra-Webフィルターに交換し、年間100万ドル以上の運転コストを削減しました。 また、このフィルター交換により、年間7,000人時以上の労働力も削減することができました。 これは、約3.5人の正社員に相当します。
この中国の繊維工場のケースは、エアフィルトレーションの改善がシステム全体の効率に大きな影響を与えることを示す典型的な事例です。 エアフィルターは、図5に示すように、オイルフィルターや空気/油分離器など、フィルトレーションの「エコシステム」を構成する重要な部品としてとらえる必要があります。 1つのフィルトレーションコンポーネントの性能が向上すると、他のフィルトレーションコンポーネントの性能にも直接影響を及ぼします。