ドナルドソン、プロセスフィルトレーション担当、Jessica Exley
米国および海外の食品・飲料加工メーカーは、食品安全性に関する最も厳しい基準の下で事業を展開しています。 食品医薬品局(Food and Drug Administration、FDA)、国際食品基準(International Featured Standards、IFS)、Safe Quality Foods(SQF)、英国小売業協会(British Retail Consortium、BRC)、3-A Sanitary Standards, Inc.(3-A SSI)が規定する各標準や基準を満たす必要があり、違反すると、生産停止を命じられる危険があります。
特に評価が厳しくなったのは、食品加工業界における無菌圧縮空気と調理用スチームの使用の2つの分野です。 さまざまな基準の内容は言語によって多少違いはあるものの、その核心は、メーカーと消費者を保護することにあります。
業界基準を把握し、準拠することは、業界内そして自社施設内の圧縮空気と調理用スチームの役割を理解するということです。
高純度の圧縮空気は、食品成分への活用、食品保存(汚染物質の侵入防止)のための与圧エアへの利用、さらには粘性ある物質の配管移送、袋詰め/包装、コンベア上の残存物の除去、製造工程内にある機器あるいは食品の塵等のブロワー等、様々な場面で使用されています。
フィルタリングされていない圧縮空気は、微粒子、油と水のエアロゾル、バイオバーデンを含有しています。 これらの汚染物質は、製品の安全性と均一性を確保するために、製造プロセスから除去する必要があります。 それでは、圧縮空気をフィルタリングするにはどうすればよいでしょうか?
長年にわたるエンジニアリングとテストの結果、さまざまなPOUでオンデマンドの高純度圧縮空気を生産するには、3段階のフィルトレーションシステムが最適であることが明らかになりました。 3段階システムによって、業界基準の除去効率を達成すると同時に、高価な滅菌フィルターの交換を最小限に抑えることができます。 (図Aを参照)
フィルター#1は比較的オープンもしくは「ルーズ」なメディアで構成します。 その結果、冷凍式ドライヤーの後のラインに頻繁に混入する大量の水分や錆を除去できます。 オープンなメディアを採用することで、フィルターの早期目詰まりを防止します。 ハイエンドフィルターは、疎水性と疎油性の両方を備えた結合剤フリー(結合剤がない)のファイバーメディアを使用しています。 これにより、フィルターは水を素早くはじき、より低い圧力損失で高い流量を生み出し、エネルギー消費を最小限に抑えることができます。
フィルター#2は、残りのすべての水と油のエアロゾル、さらには最初のフィルターを通過してしまった粒子をすべて除去する必要があります。 2番目のフィルターは1番目のフィルターよりも高い捕捉効率を必要とするため、理想的なフィルターとしてはプリーツメディア構造を組み込む必要があります。 プリーツ構造は、メディアの表面積を大きくし、プリーツのないメディアと比較して汚れを捕捉する面積を増やすことで、圧力損失を減らし、寿命を延ばします。
フィルター#3は微生物を捕捉し、スチーム滅菌の過酷な条件に確実に耐えられるように設計されています。 PTFEメンブレンまたはホウケイ酸塩で作られたフィルトレーションメディアは、スチームに対する耐性が高く、また耐用年数を通して細菌捕捉構造を維持できるよう非常に精密に制御できるため、通常は最良の選択肢となります。 このフィルターは汚れや油に対応しないため、多くの滅菌サイクルに耐えられるバージョンを選択してください。 このサイズの粒子の捕捉は最も難しいため、0.2ミクロンで99.9999998%を超える定格のフィルターを採用します。
食品加工業界では、調理用スチームを直接食品に注入して調理したり、食品製造工程で使用される樽、ミキサー、コンベアなどの機器の清掃や滅菌に間接的に使用したりしています。 調理用スチームは、3-A Accepted Practice 609-03で「巻き込み汚染物質を含まず...、食品とその他の食料品および製品接触面と直接接触して使用するのに適したスチーム」と定義されています。
安全性の主な懸念として、フィルタリングされていないスチームに、食品に付着する可能性のある錆や汚れなどの汚染物質が含まれている可能性が挙げられます。 汚染の主な原因は、とりわけ余分なスチームが凝縮して再循環し、プロセスで再利用されるシステムにおいては、スチーム生成プロセスそのものであることが多く見られます。 この「再循環した凝縮水」は、パイプスケールや浮遊固形物、再循環システムのポンプによって排出された油や金属片などで汚染されている可能性があります。 使用前にスチームをフィルタリングしないと、これらの汚染物質が食品に侵入する可能性があります。 では、調理用のスチームを生成するにはどうすればよいでしょうか?
調理用スチームフィルトレーションシステムには2つの重要な段階があります。 プレフィルターまたはエントレインメント分離器と、最終的な調理用スチームフィルターです。 (図Bを参照) ステンレス鋼で設計されたPOUのフィルターハウジングは、窪みや隙間などの欠陥がなく、調理用スチームを生成するのに理想的です。 最終フィルターの下流に配管があると、汚染物質がシステムに侵入する機会が増える可能性があるため、調理用スチームフィルトレーションをすべてのPOUに設置する必要があります。
フィルター#1は、通常、スチームプレフィルターまたはエントレインメント分離器と呼ばれ、生産ラインの流入スチーム源から10ミクロン以上の粒子をすべて効果的に除去する必要があります。
フィルター#2は、POUの調理用スチームフィルターとして使用され、2ミクロン以上の粒子を95%除去する必要があります。
さらに、調理用スチームをフィルタリングすることで、工場のメンテナンスコストを大幅に削減できます。 フィルタリングされていないスチームは熱交換器を汚れでコーティングし、その結果、熱伝達が遅れ、生産時間を増やしてしまう望ましくない断熱効果を生み出します。 また、適切なフィルトレーションシステムによって、ポンプ、バルブ、その他のハードウェアを摩耗させ、機器の早期故障を引き起こす可能性のある汚れやラッシュ、スケールを取り除きます。
消費者と製品の安全基準への関心が高まるにつれ、世界中の食品・飲料メーカーは、各施設内の食品安全基準や安全プロセスへの関心が高まると考えています。 生産プロセスが最新の規制に準拠していることを確認し、お客様の顧客やお客様自身のビジネスを保護することで、こうした懸念を抑えることができます。
現在お使いの圧縮空気/調理用スチームのフィルトレーションシステムが最新の基準を満たしているかどうか確認されたい場合は、食品・飲料業界に精通したフィルターのプロ、ドナルドソンまでお問い合わせください。 当社は、旧システム、老朽化したシステム、規格不適合システムなどを特定し、関連するすべての基準を確実に満たす無菌圧縮空気または調理用スチームシステムの設置をサポートします。
製品の使用条件など、ドナルドソンの管理が及ばない多くの要因によって、特定用途でのドナルドソン製品の使用と性能に影響が出る可能性があります これらの要因は完全に、製品を利用するお客様ご自身の知識と責任の下にあるため、各ドナルドソン製品が特定の目的、用途に適合するかどうかは、お客様ご自身で評価、判断する必要があります。 すべての製品、製品仕様、入手可能性、データは、予告なく変更されることがあり、地域や国によって異なる場合もあります。